2018年7月21日に掲題のイベント行ってきました。そのトークショーの懇親会で聞いた話を書きます。
(1)りんたろうさんに質問「幻魔大戦の脚本第1稿をなぜ没にしたのですか?なぜ、シグはカフーに変更されたのですか?変更を指示したのは角川春樹ですか?」
第1稿は秋田書店版に準拠して作成されていて、読んだ時にこれは東映動画がやればよいと思った。角川映画幻魔大戦は東映動画でできないことをやろうと思い、第1稿を没にした。シグをカフーにしたのは角川春樹の指示ではなく、大友克洋と試行錯誤しているときに、永井荷風が面白いということになり、シグをカフーに変更した。自分は角川文庫版幻魔大戦を当時出ていた物は全部読んだんだ。全部読んだうえで、東丈と東三千子の関係が角川文庫版幻魔大戦の重要なファクターだと思った。そこで、あの遊園地のシーンで、その東丈と東三千子の関係を描いたんだ。だから、あれは紛れもなくコミック版が原作なんかじゃない。確実に角川文庫版幻魔大戦が原作の映画なんだよ。
(2)丸山正雄さんに質問「石森プロが抗議をしてきたのはいつ頃ですか?」
忘れた。誰かが石森章太郎に何かを言ったのだと思うが、角川春樹としては平井和正の幻魔大戦をアニメ映画化するつもりでいた。角川映画幻魔大戦の原作はあくまで角川文庫の幻魔大戦。お金を出すのは角川春樹だ。原作が石森章太郎かどうかという話はお金を出す角川春樹が決めることだ。ただ角川春樹は石森章太郎にも敬意を払って納得してもらった。原作料というのは50万円程度で、石森章太郎としては自分の作品が自分の絵で無く全然関係ない大友克洋の絵でアニメ映画化されることを不本意に思ってはいたようなので、 角川春樹は映画パンフレットで平井和正と石森章太郎を並べる等、石森章太郎を立ててはいた。 そんなことより、平井和正ファンの評価が低いことは残念だった。角川映画幻魔大戦は平井和正ファンとそうでないファンとで評価が真っ二つに別れていた。あんなに一生懸命頑張ったのに・・・。平井和正にも平井和正ファンにも自分たちの努力や成果は認めてほしかった。
(3)りんたろうさんに質問「どうしてルナの髪の色はニューヨークで唐突に変わったの?」
大友克洋が最初に出してきたルナのキャラデザがパンクな方だった。自分も気に入って、「ルナはパンクで」「ルナをロックスターにして新宿の西口のあき地で野外コンサートをやらせよう・・・」とかアイディアは出たが、そのイメージではキツイので、ひとまず前半はお姫様らしいコスチュームをさせて、後半のニューヨークからやりたかったパンク・ルナで行くことにした。
(4)りんたろうさんに質問「富野喜幸との関係は?」
彼は元々僕のアシスタントだった。僕が自宅で仕事しているときに部屋のとなりに待機させて、仕事の手伝いをしてもらっていた時期がある。人の描いた絵コンテに対して、聞こえるようにブツクサ文句言うんだよぉ。「あれはこうなんじゃないか」とか、「これはああなんじゃないか」とか。あと、僕が賞を取ったときに、悔しそうにしてるんだよねぇ。上司が賞取ったんだから、喜べよ!って突っ込んだよ。
(5)りんたろうさんに質問「幻魔のデザインは生賴範義を意識していますか」
角川春樹に「生賴範義に寄せるな」と言われた。
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