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作品「幻魔大戦」の成り立ち(1)

新規作成日:2019年07月08日

更新日:2019年08月15日

このブログは、「幻魔大戦って面白そうだけど、何から読んでよいかわからない。」

「幻魔大戦って何か長いんだけど、もうちょっとリーズナブルな時間で読めないものだろうか」と思っている人のために、幻魔大戦の何が面白いのかを解説するためのブログである。

そうはいうものの、幻魔大戦を何から読めばよいかを説明する前に、前提知識として知っておく方が良いと思う事がある。

それは幻魔大戦は雑誌連載当時、どんな風に始まり、どんな風に人気があって、どんなふうに終わったのかという事だ。

長くなるので、5パートに分けて書いていく。今回はパート1 少年マガジン版の成り立ちなどについて

作品「幻魔大戦」の成り立ち パート1 ( 1 / 5 )

正典・幻魔大戦(少年マガジン版/秋田書店版)の成り立ちと打ち切り

まず、正典(キャノン)である少年マガジン版幻魔大戦(単行本が秋田書店のサンデーコミックで刊行されたため秋田書店版と呼ばれることもある)について説明する。

少年マガジン版幻魔大戦の成り立ちについては、下記の書籍のあとがきで語られている。そちらの方が詳しく正確なため、それらをお読みいただきたい。

高額商品だが、復刊ドットコムから刊行された幻魔大戦 オリジナル完全版の巻末特典の資料をできればご覧になることをお勧めする。

少年マガジン版はながらく1967年当時は受けなかったため打ち切りになったと言われてきた。その根拠となっていたのが、真幻魔大戦1のあとがき「幻魔宇宙」への招待1での平井和正の次の一文だ。

「なにがなんだかわからない」という怒りの感想が大勢を占めたのだ。中略 連載六か月にして連載打ち切りという落第点をとった。

しかし、ここ最近、異なる証言をネットで見かけるようになった。

七月鏡一氏のつぶやき

日下三蔵の昭和SF&ミステリ 平井和正編 Part1

日下三蔵の昭和SF&ミステリ 平井和正編 Part1

2017年1月15日のトークライブ日下三蔵の昭和SF&ミステリ 平井和正編で七月鏡一氏は次のような旨の内容の証言をした。

8マンインフィニティ アニメ化企画の際に、エイケンの社長と平井和正と桑田次郎と内田勝(元少年マガジン編集長)とで会食する機会があった。

その際、内田勝さんが「幻魔大戦は実は人気はあったんだ。でも、石森章太郎さんと当時の編集部のエライさんのソリが合わなくてね。それで打ち切りになったんだ」と仰っていた。mixiみんなの日記 日下三蔵の昭和SF&ミステリ秘宝館平井和正Part1(平成29年1月15日)もご参考にしてはいかがと思う。


つまり、幻魔大戦の打ち切りの真相は、当時の講談社少年マガジン編集部の幹部と石森章太郎の軋轢が原因だったとの事である。

また、2018年9月8日(土)にNHK Eテレで放送された 100分de名著スペシャル 「100分de石ノ森章太郎」にて、1967年当時、少年マガジン誌で幻魔大戦をリアルタイムで読んでいた夏目房之介氏はこう振り返った。

夏目房之介):

俺、リアルタイムで読んでましたけど、(幻魔大戦の打ち切りラストは)絶叫マシンのレールが切れてるようなもんですよ うわーって

伊集院光):

ま、絶叫マシン乗ってる途中は・・・

夏目房之介):

すっげぇおもしろかったもん 009(サイボーグ009地下帝国ヨミ編)より面白かったもん。それは言っちゃいますけど、あれ、石ノ森さんだけでは書けない。平井和正さん。平井和正さんテイストがあるんですよ。平井和正さんて実はセンチメンタルな側面があるんですよ。そこはね石ノ森さんとすごく合致する。ところが方法論でいうと平井和正さんはどっちかというと、平井和正さんはウルフガイシリーズっていうのを書くんですけど、ハードボイルド系なんですよ。

名越康文):

だから戦闘シーンは幻魔大戦の方が荒々しいですよね。

夏目房之介は、どちらかといえば、少数の熱狂的な支持者のほうだった可能性もあるが、少年マガジン版幻魔大戦は実際に読んでみると、話のテンポが良く読みやすいという人は良くネットなどで見かける。幻魔大戦が連載当時人気が無かったというのは私WO8TimeSpace175ZERO2もおかしいとは思ってはいたが、打ち切りの真相は人気の無さというよりも当時の講談社内の内部的な事情なのかもしれない。

そして、 この二年後の1969年11月に平井和正ファンの間で俗に言う「狼男だよ改竄事件」というトラブルに平井和正は遭遇し、1972年頃まで平井和正は小説の出版社から避けられることになる(要は仕事を干されていたようである)。

作品「幻魔大戦」の成り立ち パート2に続く。コラム一覧にお戻りになるか、こちらのリンクをクリックいただければ、パート2をご覧頂けます。