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作品「幻魔大戦」の成り立ち(5)

新規作成日:2019年07月08日

更新日:2019年07月22日

前のページでは、2000年代に平井和正は幻魔大戦を完結させることができたと述べた。

しかし、幻魔大戦 deep / 幻魔大戦 deep トルテックを読んでみると、 新幻魔大戦や真幻魔大戦の伏線は一切回収/消化されておらず、エンターテインメントSFとしての幻魔大戦に魅かれ続け、 高額でトルテックを購入したファンにとっては非常に物足りないものだった。

一方、2012年に石森プロは未完だったサイボーグ009完結編 天使編/神々の闘いを長男の小野寺丈と弟子により完結させるという作品「サイボーグ009完結編 conclusion GOD'S WAR」に取りかかり、2014年2月に完結させた。

しかし、その後半のストーリー展開と結末は、石森章太郎ファンにとっては、非常に不満な出来の物であった。

ちなみに、石森章太郎の弟子・早瀬マサト氏は2012年10月にアニマックスで放映された角川映画版幻魔大戦を視聴しながらツイッターで七月鏡一氏と感想のやりとりをしていた

早瀬マサト先生と七月鏡一先生の『幻魔大戦』ツイート+α

続・早瀬マサト先生と七月鏡一先生の『幻魔大戦』ツイート

作品「幻魔大戦」の成り立ち パート5 ( 5 / 5 )

幻魔大戦 Rebirth の成り立ち

2014年の8月に 幻魔大戦 Rebirthの情報解禁され、連載が小学館クラブサンデーのサイトで配信開始。クラブサンデーは後の2016年8月末に配信停止となり、「幻魔大戦 Rebirth」は新サイト・サンデーうぇぶりに移行し、その3年4か月後の2019年12月27日(金)午前0時過ぎに最終回を迎え、足掛け5年5か月間の連載が終了した。

「サイボーグ009完結編 conclusion GOD'S WAR」の後に早瀬マサトが幻魔大戦の続編の企画を提出し、 NHKアニメ企画の際に一緒に仕事をした七月鏡一に話をもちかけて実現した企画。 2019年12月27日(金)配信の第66回で足掛け5年5か月の連載の最終回を迎えた。

成り立ちは次のインタビュー記事の抜粋の通り。

2018年2月徳間書店 HYPER HOBBY VOL.07 P25 石ノ森のDNA② 七月鏡一 × 早瀬マサト(石森プロ)

2018年2月徳間書店 HYPER HOBBY VOL.07 P25 石ノ森のDNA② 七月鏡一 × 早瀬マサト(石森プロ)

HH:

「幻魔大戦」の小説はいつ頃読んだんですか。

七月:

中学の頃ですね。ちょうど角川アニメ映画で公開される時期で、 それにあわせた文庫のフェアで書店に緑色の背の平井和正作品が並んでいて、 生頼範義さんの表紙の文庫ですね。試しに1、2巻を買ってみたところぐいぐい読まされちゃうんですよ。 そこから広がっていって、「ウルフガイ」を読んで、短編集とか「死霊狩り」「悪霊の女王」なんかも読みました。

HH:

早瀬さんは平井和正をいつ認識したんですか。

早瀬:

大学の頃に、「幻魔大戦」をやたら人に勧められたんですよ。 なぜかというと「ストーリーがバトルものじゃなくなってきた、どう考えても内容的におかしい、これを読んで解説してくれないか」とやたら言われまして、 そんなことを言われたら読めないじゃないですか(笑)。なので、小説に関しては未だに「幻魔大戦」を読んでないんです。

HH:

なぜ「幻魔大戦 Rebirth」をやることになったんですか?

早瀬:

その前に「009」の完結編を描いていまして、その次に何をやるかっていう話になったとき、 「009」は未完であったものを終わらせたわけです。ならば「幻魔大戦」もある意味未完なので続きがやれる、もしくはやらなきゃいけないものじゃないかと思って企画書を書いたんですね。 実は何年か前にNHKでアニメ化の企画が立ち上がったことがあって、その時に石森プロに平井先生が来られまして、七月さんを紹介されたんです。 『週刊少年マガジン』で「月が・・・」で終わった後の話を平井先生はシナリオとして書かれてらしたと聞いたので、その構想をちょっと見せてくれませんか、語ってくれませんかという話をしたら、 「もう自分ではなくて後のことは七月君に全部任せてるんだよ」って言われたんです。

七月:

平井先生の「8マン インフィニティ」に関わっていたんですよ、映像化はコケてしまいましたが、その縁で平井先生に「幻魔大戦」の映像化の企画を手伝ってもらえませんかって言われまして、初めてこちらにうかがったんです。

早瀬:

それがあったものだから、とりあえず「幻魔大戦」の続編をやるには七月さんを口説けばいいんだとわかったんです。 七月さんがOKなら平井先生もOKなんだってっていう感じだったんですよね。ですからとりあえず七月さんにご相談させていただきました。 そうしたら七月さんもやりたいという返答をいただいたので、平井先生のところへ連絡し、小学館に持っていったんです。

七月:

特に平井先生に託されていたわけではないんですが、平井先生サイドの了解が出たときはすでに平井先生は病床だったんです。 先生はもう「幻魔大戦 deep トルテック」を完結させておられたので、それとは別ラインの続編を私に書かせていただけるならとお引き受けしました。

早瀬:

アニメ化の話をしている時に七月さんからプロット的なものが出てきましたよね。

七月:

シリーズ構成案ですね。

早瀬:

「月が・・・」の後の話ですよね。実現には至りませんでしたが。

七月:

連絡があった時は無茶を言うなぁと思いましたよ(笑)。

早瀬:

その前に私は「009」の完結編をやるというそれ以上の無茶をやってますからね(笑)。

七月:

まあこの人はあんな無茶もやったから、こんな無茶もやるんだろうなと思って納得しました(笑)。

HH:

最後までのボリュームがわからない中で、「幻魔大戦」を始めるのはなかなかの冒険ですね。

七月:

人気が低調だったら3巻くらいで潔く終わろうねって話をしてたような気がします。

早瀬:

そうでしたね。この出版不況もあるので全5巻構想でスタートしました。5巻ぐらいが上限だろうと私達は思ったんです。 でも7巻を超えたんで、正直ここまで続くとは思ってなかったですね。

七月:

「幻魔大戦」には熱狂的なファンが大勢いるんですが、早瀬さんの石ノ森タッチで提示されたものを見てとても納得してくれてる。 これしかないだろうと言ってくれている人が多くて、それに助けられてます。 一応私は平井先生の小説も石ノ森先生のマンガも全部読んでいるんですよ。 「Rebirth」をやるにあたって、これら全体の続編にしなきゃいけないというのが大前提だったんですが、 じゃあどこから手を付けたらいいのかって部分は悩みましたね。 どこから書いても何を書いても、絶対誰かにつっこまれるのが目に見えている。 幸い、平井先生も石ノ森先生もパラレルワールド、やり直しの世界という設定を使われている。 そういう世界のひとつとして新しい物語を加えることも出来る世界観だったのは幸いでした。 それに昔、小説の「真幻魔大戦」と『リュウ』版の「幻魔大戦」が始まったときに、平井先生自身あとがきで 「この二つの別々の『幻魔大戦』が、未来においてドッキングすることもありうるが、それはさきのお楽しみにとしておこう」と書いているんです。 僕ら幻魔ファンにとってはついに実現しなかった夢なんですが、だったら「Rebirth」でそれをやってみようと思ったんです。

早瀬:

七月さんがスタート時に「初見の人が見ても面白い展開にするんだけども、小説を読んでたら更にそれをひっくり返す展開にする」って言ったのがすごく印象に残ってますね。

2020年1月29日に公開された石森プロ公式サイトの特集記事も「幻魔大戦 Rebirth」のあとがきとしてお読みいただきたい。

ISHINOMORI DNA 早瀬マサト×七月鏡一 | 石森プロ公式ホームページ

補足情報として、次のインターネットラジオ番組などを併記しておく。

2018年2月徳間書店 HYPER HOBBY VOL.07 P25 石ノ森のDNA② 七月鏡一 × 早瀬マサト(石森プロ)

2017年2月12日のトークイベント「日下三蔵の昭和SF&ミステリ 平井和正編 Part2」で頂いた七月鏡一先生と早瀬マサト先生のサイン

作品「幻魔大戦」の成り立ちのコラムは以上です。